高速バスといえば、今や移動手段としてだけでなく「快適な移動空間」として様々に進化している。 こちらでは、高速バスの座席のバリエーションについて特集してみたい。
◆高速バスの座席タイプ
<4列・スタンダード>
一番標準的なタイプの座席。片側2列のシートが通路を挟んで合計4列設置されている。前後の座席数は11席。一般的な観光バスタイプ。
<4列・スペシャル>
片側2列×2の配置だが、様々な派生形が登場している。前後の座席数を減らして、一人ひとりの足元を広くしフットレストが付いたタイプ、リクライニングが最大140度まで倒せるタイプ。また1席毎にプライベートモニターが付きテレビやゲームが楽しめるタイプ(WILLER EXPRESSシアター)、カノピーという折りたたみ式のフードカバーが付いたタイプ(WILLER EXPRESSリラックス)などもある。
<3列>
片側1席と片側2席の合計3席、または一つ一つの座席が独立して3列など。4列よりも座面が広く、ゆったりした造りが基本。前後の座席数も4列シートより少なく設定されている場合が多い。
3列独立タイプでは、一人ひとりの座席がカーテンで仕切られ、個室感覚で乗車できる。(海部観光マイ・エクスプレスクオリティ他)
さらにユニークなものでは、乗車中に高濃度イオン発生器が使用できる(WILLER EXPRESSボーテ)、スーツが掛けられるフックが装備されている(WILLER EXPRESSビジネスクラス)など女性やビジネスマンに向けて特別に開発されたシートタイプも登場している。
また、3列独立シートのバスに2席だけ配置された「ランクアップシート」(VIP LINEAR PLUMERIA、 PLUMERIA Grande) は、リクライニングが全自動で、後ろでなく前にスライドするというシステムで後ろの人に気兼ねなくリクライニングできるのが魅力だ。
同様に3列独立シート2階建てバスの1階部分に3席だけ配置された「プレミアムシート」(JRバス プレミアム)はシート幅が約60センチ、最大リクライニング角度がなんと156度。「寝返りがうてる」というコンセプトにこだわった作りになっている。
<2列>
2階建てバスの1階部分のスペースを利用して、空間を贅沢に使った半個室の座席(WILLER EXPRESSエグゼクティブ)や、シェル型パーテーションで社内が細かく区分けされ、より個室感を高めたタイプなどの座席(WILLER EXPRESSコクーン)、またなんと大型バス1台に座席がわずか12席のみで、左右1列ずつに配置された座席はウッディなパーテーションで仕切られ、ほとんど個室状態というものもある。(海部観光「My Flora」)
<アトラクション系>
WILLER EXPRESSのアトラクションバス「スターファイター」は、今までの高速バスの概念を覆す新しいコンセプトで車内と座席が造られている。
前方モニター、側面、天井などに映像や光が投影され、まるで宇宙空間にいるかのような感覚が味わえる。そして、利用者はバス乗車中に「宇宙船スターファイター」の乗組員という設定の下、各席に備え付けのジョイスティックを使いながら、ストーリーに従ってミッションをクリアしていく。
まさにテーマパークのアトラクションをバスでの移動中に楽しめる趣向だ。従って車内の内装やシートも細部まで宇宙船というコンセプトに則って演出されている。
いかがだろうか、現在の高速バスの座席が日進月歩で工夫され進化しているのがお分かりいただけただろうか。料金の安さだけでなく、こうした新しい座席の開発なども高速バス人気の一因になっているのは間違いないだろう。