高速バス夜行バスとは

 

長距離の移動手段としてすっかり定着した高速バス・夜行バス。ひとくくりに「高速バス」と呼ぶ場合が多いが、「高速バス」の定義とはなんだろうか?

◆高速バスとは?

一般に高速バスと呼ばれているものには、二種類ある。「高速乗合バス」と「高速ツアーバス」である。

どちらも主に高速道路を通行して目的地(都市や観光地)を目指すバスであるが、その運行形態や乗車方法などは両者で大きく違う。

「高速乗合バス」は簡単に言えば、「高速道路を通行する路線バス」であり、「高速ツアーバス」は「旅行会社が企画し、高速道路を通行して観光地を目指す貸切バス」とでも言えるだろうか。それぞれに夜間運行するものもあり、一般に「夜行バス」と呼ばれている。

「高速乗合バス」を運営しているのは「路線バス会社」であり、運行も路線バス会社が行っている。それに対し、「高速ツアーバス」を企画運営しているのは「旅行会社」であり、実際の運行は旅行会社から委託された「貸切バス会社」が行っている。

両者の違いは利用方法に大きく現れている。「高速乗合バス」は路線バスの一種であるので、バスの停留所やバスターミナルに行き、空席があれば予約していなくても、乗務員に運賃を支払って乗車できる。

それに対し、「高速ツアーバス」は基本的に予約制になっており、企画運営している旅行会社にあらかじめ旅行代金を支払っておく必要がある。「高速乗合バス」のように、当日空席があったとしても、バスの乗務員に運賃を払って乗車することはできない。

また、両者は典拠する法律も異なり、「高速乗合バス」は道路運送法、「高速ツアーバス」は旅行業法に基づいて催行されている。したがって、約款にもそれぞれに特色があり、キャンセル料金の徴収については、両者で全く異なったシステムになっているので、十分に注意が必要である。

◆「高速乗合バス」と「高速ツアーバス」を分けて考える必要があるのはどんな時か?

両者の違いを理解しておく必要性は、「高速バス」が万が一事故にあった場合を考えると、よくわかるのではないだろうか。

それぞれにどの会社が責任を持つのかという点である。

「高速乗合バス」は路線バス会社が企画運行しているので、事故時の処理や損害賠償などの対応も路線バス会社が行う。これは、利用者にとってわかりやすい。しかし、「高速ツアーバス」が事故にあった際は、利用者が旅行代金を支払った旅行会社ではなく、その旅行会社から運行を請け負った「貸切バス会社」が事故処理や損害賠償の対応を行うことになる。

旅行会社が大手であっても、その時に依頼されて運行していた貸切バス会社が非常に小さな会社である可能性もあるということである。

旅行会社に代金を支払う際、運行する貸切バス会社がどのようなバス会社かを確認する利用者はあまり多くないのではないだろうか。(旅行会社は旅行業約款に従って、お見舞金や補償金を支払うという立場である。)

利用者は旅行会社に旅行代金を支払っているので、旅行会社が責任を負うと思い込みがちであるが、実はそうでAAはないという点に注意したい。